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映画「ルルドの泉で」
ルルドの泉で
Lourdes / 2009年 / オーストリア・フランス・ドイツ / 監督:ジェシカ・ハウスナー /ドラマ


信仰心のない彼女になぜ奇蹟は起きたのか。
【あらすじ】
首から下の麻痺により長年車椅子生活を送ってきたクリスティーヌ。さして信仰心もないが、聖地ルルドへのツアーに参加する。すると、奇蹟が起きて体が動くようになったよ!あれ、なんで、わたしだけ?

【感想】

主人公クリスティーヌ(シルヴィー・テステュー、赤の帽子)は、車椅子ながらいろんなところに出かけており、聖地ルルドよりもローマが楽しいと言う人なんですね。信仰心もない。巡礼というより観光でルルドに来ている。

周囲の人もさまざまで、彼女を助ける大学生のボランティア(レア・セドゥ、写真左)は、ルルドに自分探しにやってきており信仰心などない。いい男がいると車椅子のクリスティーヌをほっぽって男のところに行ってしまう。これは、自分探しじゃなくて男探しでしたー。信仰心以前に常識が欠けているような‥‥。仕方がないので、同室のおばあさんが車椅子を押してくれる。

このおばあさんはかなり信仰心が厚い様子。マリア像に必死に祈っている様子から、かなり深い悩みを抱えていそう。他の巡礼者もそれぞれ悩みを抱えている。だがなぜか、もっとも信仰心の薄いクリスティーヌが、ある日突然立てるようになるのだった。奇蹟を目のあたりにした人々は、最初のうちこそ興奮して喜んでいたが「なぜ信仰心の薄い彼女が?」と妬みだす。嫌な展開になってきたよ。ワクワクしますなあ!

挙句に神父に向かって「なぜ彼女なんでしょうか?」と問い質す者も出る。車椅子の男性は「元に戻らないように祈ろう」と言う。この「元に戻らないように」という言い方が、浮かれているクリスティーヌに冷や水を浴びせるようだった。まあ、嫉妬なんだけどね!

この監督は無心論者なのだと思う。わたしは神様(人格神)の存在を信じていないが、無心論者が持ちそうな疑問がよく描かれているんですね。巡礼者たちは、主人公に起きた奇蹟を見て、奇蹟がなぜ彼女ではなく自分に起きなかったのかと不満に思う。みな神様の存在を疑おうとはしない。神を信じていなければ、そもそも奇蹟などはなく、ただの偶然だったということになる。

この映画を通してみると、宗教とは人生に受け入れがたい不条理が生じたとき、それを受け入れて納得するための装置なのかもしれない。主人公が自分の病気に不満を漏らすと「あなたの苦しみには意味がある」と神父に言わせている。理由については「神の御心」で片付けられてしまい答えは示されない。

キリスト教に限らず、どの宗教でも経典の内容を絶対的に正しいものとし疑うことを許さない。本当に全知全能の神がいるならば、闇雲に教えを盲信する信者ではなく、自分の頭で考えて疑ってみる真摯な態度こそ賞賛すると思うのだけど。人が生み出した宗教という装置は、どれだけの人を幸福に、どれだけの人を不幸にしたのか。

この映画は誰に向けて作られたのだろう。信仰心があるか否か、それによって感想がだいぶ変わるのだと思います。あと、まあ、嫉妬がすごい。それに尽きる。そんなに嫉妬したら、神様もあきれる。おまえだけには奇蹟起こすのやーめた!ってなる。


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author:しゅん, category:-, 23:48
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映画「デビルズ・ダブル」
デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-
The Devil's Double / 2011年 / ベルギー / 監督:リー・タマホリ / 実話に基づいた物語


最悪の人間に握られた権力。
【あらすじ】
イラクの独裁者サダム・フセインの長男ウダイ。不幸にも彼とうり二つの顔を持つラティフは、ウダイの影武者になることを強要される。

【感想】
ウダイの影武者であるラティフ・ヤヒアが書いた自伝が原作です。

影武者には二つの悲しさがあるように思う。一つは自分という個性を消さなければいけないこと。もう一つは、万が一のときには自分の命を犠牲にして本人を守らなければならないということ。だが、たとえ死ぬとしても、その命が大勢を救うためなら意味はある。しかし、守るべき対象が最低最悪の人間だった場合、これは、とてつもなく虚しい。

サダム・フセインの息子ウダイ(右)と影武者ラティフ(左)は、ドミニク・クーパーの一人二役です。ぬぬぬ‥‥、似ている!

同一人物だから当たり前ですけど。ラティフは高校時代にウダイと同じクラスだった。当時、周りからも似ていると言われていた。ウダイはラティフを影武者にすることを思いつく。で、ウダイさんがラティフに影武者になるかどうか選ばせてくれるんですね。

「影武者やるのを断れば、家族全員、刑務所送りです。さあ、やりますか、やりませんか?どっち!」って、しょっぱなから狂っとる。選択肢なんか存在しない。この人って、ずっとこんな感じなんだよなあ。街を歩いている女性をさらってレイプ、参加した結婚式の花嫁を気に入ってレイプ。拷問、レイプ、殺人、全部やりたい放題である。

影武者に嫌気がさしたラティフは、彼の側近に向かって言う。
「汚い仕事をする善人が彼を支えている」
彼のやることに嫌悪感を示しつつも、保身のために彼を守る人々がいる。ただ、これを責めるのも酷に思う。彼に逆らうということは、逆らった本人だけでなく、家族の拷問や死をも意味する。

絶大な権力を持った独裁者というのは、実はもっとも効率よく組織を発展させるものだと思う。企業の創業者などがそれにあたる。トップが倫理観と優れた判断力を持っていれば、独裁制であってもまったくかまわない。

問題なのは、いつかは優秀な独裁者も衰える。たとえ衰えずに死んだとしても、世襲制ならば二代目や三代目が無能ということもある。能力がないのは仕方がないことだし、周りが補佐することもできる。だが、残虐ならば手に負えない。

独裁制に比べて議院内閣制という日本の政治システムは、判断・実行に迅速さを欠く。多数の人間が関われば責任の所在がぼやけるという点もある。だが、それでも権力を制限することで、組織全体の安全装置が働く。独裁制は指導者の資質に依存しすぎる。急速に発展することもあれば滅亡を招くこともある。

ま、これ、映画とはそんな関係ない話だった。もう、ウダイについては観ているのがしんどくなるぐらい、ひどい人なんですよねー。まったく同情の余地はないものの、彼は虚しさを抱えていたのかもしれない。自分の要求はすべて満たされるが、誰も自分に本心を言ってくれない。どんな人間も言いなりになるし、高級品は全て手に入る。それは本当に愉快なのだろうか。結局、彼自身には何もなくて、彼がサダム・フセインの長男であるというだけにすぎない。誰も彼自身の価値は認めてくれない。

影武者のラティフは、ウダイの側近とは違って、命がけで彼に反抗することがある。でも、彼が殺されなかったのは、ウダイに対して本心を見せてくれる数少ない人物だったからではないかと思う。ラティフからするとウダイから好かれても、いい迷惑なんですけど。

主演のドミニク・クーパーのコメントが公式サイトに載っています。
「僕はあの男を嫌悪した。彼を理解できるような要素は何もなかった。あんな所業をした男の考え方に同調するのは僕の能力を超えていた」

そう語りつつも、完璧ともいえる一人二役をこなしたのは見事というほかはない。お薦めはお薦めなのですが、この映画、腹が立って気分悪くなるのが困りもの。


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author:しゅん, category:-, 23:24
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友人Fの投資
▼雷雨で祭りは中止。久しぶりに友人たちと会う。毎回、変なことにお金を使う友人がいる。英会話教材を買ったり、バーテンダーの講習を受けたり、スキューバの道具を買ったり、はたまた手話の教材に手を出したり。どれ一つモノになっていないというツワモノが友人Fだ。皆の者、頭が高い。

上に挙げたものの他にAKBにかなりの金額を使ったり、キャバクラに使ったりと大盤振る舞いである。でも、わたしのようにほとんどお金を使わない人間というのも、どうも面白味がなくていけない。Fのような豪快さがない。

今回のFは何も買っていなかった。毎回、彼が何を買ったか聞くのが楽しみだったのに。しかし、Fは「ちっちっち」と、顔の前で人差し指を左右に動かすのだった。「なにか変わったことがあるだろ?」と言うので、上から下までFの姿を注意深く見たが何も変わっていない。腕時計を替えた様子もない。

少し目が腫れぼったい様子なので「目、どうかしたの?」と訊くと「フッフッフー、ようやく気がついたか。二重にしちゃいましたー!」と、言うから驚いた。整形手術でまぶたを一重から二重にしていた。前と明らかに変わっているかというと「言われてみれば」という程度の変化。はっきりと違いがわかるほどではない。本人も、それほど変わっていないと不満らしい。

そして、Fは多重債務者になった。こっちははっきりわかるそうです。書面と電話の督促がものすごいので。ついに体にメスも入れたFである。彼の暴走を止められるものは、もはや消費者金融の督促だけだ。行け行け、友人F。金は貸さないが応援している。

これから先、Fはどうなるのだろうか。町で知らない女の人に声を掛けられて、それがFだったなどということもあり得る。突然の性転換手術などFには朝飯前だ。なにせいつも期待を裏切らない男。

いや、待てよ、さっき会ったFはすでに性転換して女になって、また再手術で男になって、そのあと二重にしたFかもしれない。というか、もう二重とかどうでもいい。とにかくFはそれぐらいやる男。ただし、金は返さない。
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author:しゅん, category:日常, 00:26
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映画「メタルヘッド」
メタルヘッド
Hesher / 2010年 / アメリカ / 監督:ナタリー・ポートマン / ドラマ


暴走するランプの精。
【あらすじ】
母親を交通事故でなくし、立ち直れない家族。そこへ現れたヘビメタ好きの暴力刺青男。勝手に家に居座ります。通報しとこ。

【感想】
メタルヘッドっていうのは「ヘヴィメタル音楽好きのファン」のことだそうです。知らんかった。なんも知らんまま生きてきた。そして、なんも知らんまま死んでいくのです。無情。

というわけで、メタルヘッドです。主演のジョゼフ・ゴードン=レヴィットは「(500)日のサマー」「インセプション」「50/50 フィフティ・フィフティ」などに出ていますね。どの映画も少し変わっていて面白い。知的で線の細い印象だったけど、この映画ではヘンテコな刺青の危ない人になってしまった。わ、わしのゴードンが‥‥。

うーん、よもやの白パン一丁での登場。しかも、初対面の人の家でこの態度。あかん。

左がそんな困ったちゃんを家に招き入れてしまった少年T.J.・フォニー(デヴィン・ブロシュー)、右はT.J.がほのかに恋心を寄せるニコール(ナタリー・ポートマン)。この映画、ナタリー・ポートマンがとても地味な女の子役で出ている。

で、よくあるのが「冴えない女の子」という設定のはずが、女優がきれいだから説得力がないという状態。でも、ナタリー・ポートマンが演じたニコールは、本当に冴えないんですよね。メガネをはずしたこのシーンまで、ナタリー・ポートマンだということに気づかなかった。T.J.からは「おばさん」て呼ばれるし。おまえ、ナタポに向かってなんてことを。

ヘッシャー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)という人物は、何を考えているかわからない。好き勝手に欲望のままに生きて、何も考えていないのかも。いきなり現れたかと思うと、T.J.の家に居座ってしまう。だが、彼が家に来たことで、母親の死で沈んでいた家の雰囲気が変わってくる。いい方に変わったかというと、そうともいえなくて、よくわからないがとりあえず動き出したという。

T.J.という少年はずっと自分の気持ちを抑え続けて生きている。いじめっ子がいて、かなりひどい嫌がらせをされるけど、家の誰にも相談しない。母親が事故死した車を探すことだけを生き甲斐にしている。

ヘッシャーは、T.J.の欲望が具現化した妖精(にしては、ひどいかっこう)みたいなものかと思った。T.J.の願いを叶えるために現れたのかもしれない。ただし、すべてにおいて過剰なのだ。いじめっ子に復讐したいと思うT.J.だが、ヘッシャーはいじめっ子の車を燃やしたり、鼻をペンチのような物で切ったりする。T.J.は「やりすぎだよお!」と、引いている。

ヘッシャーは欲望の塊で、だが彼がそばにいることでT.J.や父親も感情を解放し始める。やがて、母親の死という絶望から立ち直っていく。最初はヘッシャーがどんな人物かわからず戸惑いましたが、最後はきれいにまとまっていました。おばあちゃんとヘッシャーのやりとりも良かったですね。麻薬入りの水パイプ吸わせたり。無茶な人だよ。


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author:しゅん, category:-, 13:14
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▼以前、勤めていた会社で打ち合わせ。会長から「ちょっと鰻、食いに行こう」と誘われる。「今年は高いですよ」と言ったところ「江戸っ子が丑の日に鰻食べなくてどうすんだ」と返された。地元のスーパーですら二千円ぐらいするので、外で食べたら三千円以上するのではないか。

会社の近所の鰻屋に行く。店内の「鰻重四千円」の文字が見えた。先を歩いていた会長の足が止まった。「まあ‥‥、丑の日だからって馬鹿正直に鰻ってこともないな。今日は暑いし、ソバの気分だな」と言う。五分前まで、江戸っ子が鰻食わなくてどうするって言っていたのに。会長、八十歳を越えて、ついに江戸っ子を卒業。

▼選挙だった。いろいろ思うところはありますが、ネットで何か書けば言葉足らずになるので書かない。しかし、ドクター中松さんには注目していた。ジャンピングシューズの人である。またしても出馬していた。

サイトを見ると華やかな履歴が列挙してある。「米科学学会で『歴史上偉大な五大科学者』に選ばれる」「発明件数世界一で世界の発明王」「ハーバード大、MIT、コロンビア大、東京大学等で講義」参院には「知性の高い人」が選ばれるべきと書いてある。

そこまで優秀なんだからいいかげん当選しないことに気づけ、などと言ってはいけない。それは愛が足りない。ドクター中松愛が不足している。で、サイトを眺めていて最後に書かれていたことに驚いた。「ドクター・中松映画がハリウッドなど世界中で大反響」とある。

調べてみるとカスパー・アスルップ・シュレーデルというデンマーク人監督が、ドクター中松さんを題材に撮影したドキュメンタリーのようです。

予告編の段階で、ちょっと面白い。「普通の人はカメラを買うとき、レンズかメカニズムを調べる。でも、わたしは匂いで買うんだ」と、カメラ売り場でカメラの匂いをクンクンかぎ出すドクター。いいカメラはいい匂いという独自理論。

これは観るしかない!と意気込んだが「ハリウッドなど世界中で大反響」の作品なのにアマゾンで扱ってないという。アマゾンの怠慢である。
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author:しゅん, category:日常, 00:10
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映画「4デイズ」
4デイズ
Unthinkable / 2010年 / アメリカ/ 監督:グレゴール・ジョーダン / サスペンス


拷問は肯定されるか。
【あらすじ】
拷問、拷問、また、拷問。

【感想】
あらすじに書いたのは、その昔、中日ドラゴンズの権藤投手が毎日のように投げ、それを「権藤、権藤、雨、権藤」と評されたのをもじりました。わかりづらいわ。この段落、完全に必要ない。次の段落から読んでくださいねー。

実際、かなりの場面が拷問という、ちょっと変わった映画。いたい!いたい!いたーい!

アメリカ政府にテロ予告が届き、スティーブン・アーサー・ヤンガー(マイケル・シーン 写真右)というイスラム系アメリカ人が逮捕される。この人「クィーン」でブレア首相を演じていますね。首相からテロリストに。波乱の人生。

国内のどこかに核爆弾が仕掛けられ、4日以内に爆発する。その爆弾の所在を吐かせるためにプロの特別尋問官H(サミュエル・L・ジャクソン)が呼ばれる。どうですか、この貫禄。これで新入社員なんです。(ウソ)

サミュエル・L・ジャクソンて変な役を引き受けますが、この映画ではまあ怖い役でしたねえ。悪サミュエルが観られます。

FBIからはこの事件の捜査にヘレン・ブロディ捜査官(キャリー=アン・モス)があたる。マトリックスに出ていましたね。組織の上層部に隠し事が多く、下まで情報が降りてこずにイライラする感じとか、実際こういうのあるんだろうなと思わされました。「事件は現場で起きているんだ!」って、世界陸上の司会者も言ってたしなあ。変な書き方するとファンの人から怒られる。わ、わたしだってファンだよ!東京ラブストーリーも観たし!

よし、これで怒られない。で、サミュエルが挨拶代わりに、犯人の指を切り落として拷問が始まります。え!そこから?っていう。だだだって、指を切り落とすってかなり後の段階じゃんかあ‥‥。それをコンビニにじゃがりこを買いに行く感じでやられると‥‥。わたしは、かなり引いた。

実際、拷問シーンは多いのだけど残酷さは主題ではないと思う。恐怖を煽り、より残酷に撮ることもできたはずだけど、意外とサラッとしてるんですよね。痛そうだけども。核爆弾によるテロで何百万人も死ぬ危険があるとして、はたして犯人を拷問をして情報を訊きだすことは正しいかと問われている。

FBIのブロディ捜査官は、最初こそ拷問に反対している。彼女は人権を守ろうとするし「拷問による自白には信憑性がない」と主張する。しかし、Hは「ならば、なぜ人間は昔から拷問を続けてきたんだ」と黙らせてしまう。ブロディも、タイムリミットが迫る中、拷問を黙認せざるをえない状態に追い込まれる。

周りにいた人間たちは拷問の残酷さに目を背けるくせに、拷問してさっと口を割らせろとHに迫る。勝手だわー。

そんな中、犯人が爆弾の位置を教える代わりに出した要求が興味深かった。すごくまっとうな要求なんですね。中東のアメリカ傀儡政権への武器供与の禁止と、中東からのアメリカ軍の撤退。意外にも正当な要求のため、拷問していたHも「その要求、呑んじゃえば?」となってしまう。上層部は、そんなことを認めるはずもなく拷問は再開される。

犯人は口を割らず、彼の家族が連れてこられるのだ。テロリストというのは、どんな罰を受けても仕方がないように思うが、それが家族ならばどうだろう。子供ならばどうだろう。そこまでこの映画は追及している。

ここからは現実の話ですが、アメリカは、イラクやアフガニスタンで拘束した容疑者をキューバのグアンタナモ基地で拷問している。キューバなら、アメリカの法律の適用をまぬがれるからである。

拷問について安全なところから批難するのはたやすい。だが、人権を蹂躙し、違法性はあるものの、拷問が爆弾テロなどによる犠牲を防げるとすればどうだろう。容認されるべきなのか。こういった問題にすっきりとした正しい回答などあるはずがない。興味深い映画でした。痛いのが苦手でない方なら、どうでしょうか。


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author:しゅん, category:-, 22:51
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オランジーナ
▼最近はオランジーナばかり飲んでいる。オランジーナはオレンジ、レモン、グレープフルーツと炭酸を合わせたジュース。甘さ控え目で飲みやすい。これが地元のスーパーで80円ぐらいで売っている。で、オランジーナを買うとですね、ツタヤの旧作レンタル1本無料券がついてくる。

80円で買って、そのままツタヤに行けば、タダで借りられることになる。普通に借りるよりも安い。これはいいやということで、オランジーナばかり買っていたが、なぜかツタヤに行っていない。タダ券だけはたまり続けている。ツタヤの人に「あ、またあの人、オランジーナの券持って来た」などと言われそうで恥ずかしい。やがては「今日もオランジーナさん来た」と言われそうである。

そういうわけで、ゲオで借りています。なにこの話。

▼ジュースの話を書いていたらカルピスを思い出した。子供の頃、お遣い物の王様といったらカルピスだった。子供ながらにカルピスが出てくる家は、経済的に豊かであると把握していたのです。特にカルピスが濃い家は富豪である。将来、強盗に入るならここにしようと固く心に誓ったのです。誓わない。

そんなカルピスですが、英語圏では「カルピコ」として売られている。カルピスはcow piss(牛のおしっこ)と発音が似ているからだ。

この商品はAmazonUSAの画像ですが、CALPICOですね。だが、その下にカタカナでカルピスウォーターと書いている。これはカルピコウォーターではないのか。

英語圏に出張に行った日本人がカルピスの偽物だと思わないように、カルピスウォーターって書いてあるのかなあ。

▼仕事でお世話になっている会社のOさんと話す。Oさんは、物をハッキリ言いすぎるからか、社内であまり人気がない。Oさんと組むのを嫌がる人がいる。自分に厳しいが他人にも厳しい。

Oさんと世間話をしたとき、Oさんが奥さんを怒らせてしまったというのを聞いた。口論になったとき、奥さんが「どこを直したらいいか、わたしの嫌いなところを言ってみて!」と激昂したので、Oさんは奥さんの嫌いなところを三十ほど列挙したそうである。列挙しすぎだろう。

Oさんの言い分は「列挙せよというからした」ということだった。正直な人だし、正しいのだろう。残酷な勇者である。あれですかね、犯人に捕まった人質が「俺のことはいいから撃て!」って言ったら「わかりました。じゃあ」って、言って撃つタイプだな。検挙率が上がりそうですね。死亡率も上昇中。

▼こう書くとOさんが嫌な人みたいだけど、わたしにとってはそんなことはない。仕事で「明日まで」とお願いしたら、必ず翌日の朝までには仕上げている。わたしの上司はいいかげんなタイプが多かったので、こうやってきっちり仕事をするタイプは本当に嬉しい。

わたしも基本的にはきっちりしたいほうである。が、納期が明日で間に合わない場合、Oさんのようにきっちり仕上げるかというと、そうではない場合もある。「明日」とは何かについて考え出す。

最初は「明日とは、本当に明日の朝なのだろうか?」ということです。つまり、終業時間までが明日であろうという。で、終業時間に終わらないと「一日の終わりは23:59である」ということになる。

それでも終わらないと「まあ、無理して23:59までに仕上げたって、相手がPCを開くのは次の日じゃーん。だから、次の日の朝まででいいよね!うん!いいに決まってる!」ってなる。次の日の朝まで終わらないと「相手が出社したら、掃除したり、コーヒー淹れたりで、すぐにはPC開かないから、11時ぐらいでいいんじゃないかな」となる。

11時に終わらないと「もうすぐ昼だしな!」となり、「お昼を食べたら眠いから、相手の眠いときに連絡するなんてよくない!」となって「3時のおやつだね。お、今日もあと少しで終わりかー。どうせこの時間ならば、明日でも大丈夫だろう!」あら不思議ー、締め切りが一日のびたー。

これを無限に繰り返すことによって、無限に締め切りをのばすことが可能なのです!というか、わたしは早めに死んだほうがいいんじゃないかと思います。
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author:しゅん, category:日常, 02:57
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映画「おとなのけんか」
おとなのけんか
Carnage / 2011年 / フランス・ドイツ・ポーランド・スペイン / 監督:ロマン・ポランスキー / コメディ


わかり合うなんてできない!
【あらすじ】
子供同士がけんかをして、片方の子供がケガをした。加害者側の両親が、被害者側の両親に謝罪に行きます。最初はお菓子なんか食べながら和やかな雰囲気でしたが、やがて「もう戦争しかないな!」という展開に。わかりあえーん。

【感想】
原題の「Carnage」の意味は「虐殺、修羅場」など。この場合「修羅場」が近いのかな。「おとなのけんか」というのは柔らかくて、いい邦題だと思います。特に平仮名で記述しているあたり、この「おとなのけんか」がいかに子供っぽいかを皮肉っているようで面白い。

被害者側のアパートのみで話が展開するという舞台にありそうな作品だと思ったら、それもそのはず、舞台劇が原作なんですね。ロマン・ポランスキー監督って「ゴースト・ライター」のときにも感じたのですが、暗い笑いが好きなんですよね。性格悪そうな人だよ、ふふふ。

こちらは被害者側のロングストリート夫妻(妻 ジョディ・フォスター、夫 ジョン・C・ライリー)。妻はアフリカ問題に関心のある小説家、夫は鍋や水道の蛇口を売っている雑貨屋。もう、ジョディ・フォスターの顔がね、怖すぎるんです。こ、これはあれや、モンスタークレーマーの顔や!

そして下は加害者側チーム。カウアン夫妻(妻 ケイト・ウィンスレット、夫 クリストフ・ヴァルツ)。

話し合いの途中で携帯に出まくる弁護士クリストフ・ヴァルツ。うーん、人をいらだたせる天才!この人「イングロリアス・バスターズ」のランダ大佐役で強烈な悪役を演じましたが、今回もよかったですねえ。妻のケイト・ウィンスレットは投資ブローカー。化粧ばっかり気にしている。それぞれの個性が滲み出て本当によい配役でしたね。

たとえ親しい間柄でも価値観の違いは大きい。最初は夫婦対夫婦という図式ですが、話題が変わると夫婦間でも対立するし、相手方とも共闘する。敵味方が目まぐるしく変わる様子も面白い。

被害者側の夫ジョン・C・ライリーが、大嫌いなハムスターを道路に捨ててきたことを笑い話にしたとき、女性同士は結託してライリーを批難する。加害者側の夫クリストフ・ヴァルツは、その問題に関してはどうでもいいんですね。「それは、お宅の問題ですから」と冷静。どちらかというと、ライリー側についているようにも見える。こういう温度差って面白い。

誰かと一緒にいるとき、その人が何かにものすごく怒っているとする。相手に共感しているのを示すために、自分もその問題に怒っているフリをすることってないでしょうか。本当は自分はどうでもいいんだけど。ない?あ、そう?じゃあ、この話はなしだな!わたしはそういうことはしないけどさあ!

いやね、そういう微妙な心の動きがよく描かれていました。本当に「わかり合う」というのは幻想でしかなくて「干渉しない」というのが、お互いにできるギリギリの譲歩かもしれません。で、当事者である子供同士はとっくに仲直りして、エンディングで一緒に遊んでいるんだよねー。ちょっと変わった珍しい映画でした。80分もないので気軽に観られる一本です。

しかし、ジョディ・フォスターのイライラする演技は良かった。「あなたが今おっしゃったひと言なんですけど」って、つっかかってくる感じはすごい。怖い!


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author:しゅん, category:-, 01:47
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映画「アルゴ」
アルゴ
Argo / 2012年 / アメリカ / 監督:ベン・アフレック / 実際の事件を基にした映画


【あらすじ】
1979年に起きた在イラン アメリカ大使館人質事件。カナダ大使公邸に匿われた6人のアメリカ人を、ウソ映画のスタッフに変装させてイランから連れ出します。

【感想】
実際の事件を基にしているというと、どう考えていいのか難しくなりますね。これはCIA工作技術本部のトニー・メンデス(ベン・アフレック)が主役です。まるで、スパイ映画で描かれるような痛快な作戦を立てて現実に実行してしまう。スリリングで痛快なのは確かだけど、どうもモヤモヤする部分があるというのも本当のところ。

イラン革命の最中に、イスラム過激派グループがテヘランにあるアメリカ大使館を襲撃する。銃を持ち暴徒と化したイラン人たちがアメリカ大使館に押し入ってくる様子が怖い。だが、彼らがなんでそこまで怒ってんの?ということについて、ほぼ描かれていない。

イギリス資本が牛耳っていたイラン国内の石油を、イラン首相モハメド・モサデグが国有化する方針を決める。これに反発したイギリスとアメリカは、CIAを通じて、民主的に選ばれたモハメド・モサデグ政権を転覆させる。通称アジャックス作戦である。CIAとMI6は皇帝モハメド・レザー・パフラヴィーに国の実権を握らせ、傀儡政権を樹立させた。

こういった背景があれば、イラン人が怒るのも当たり前な話で、人の国でなにしてくれてんねんという。それを考えると、こう、なんでしょうね、アメリカは自分でトラブルを起こして自分で解決したんだから当然とも思える。そういったモヤモヤを抱えつつ観たわけです。

で、それでもやっぱり面白いと思うのが、アメリカ人のディテールへのこだわりですね。救出作戦のためにニセ映画を撮るフリをする。CIAのトニー・メンデスは映画スタッフとしてイランに入国し、匿われている6人と接触し、彼らを映画スタッフに偽装させてイランから連れ出す計画を立てる。

この写真はハリウッドにいる映画製作者たち。本職の人間がかかわって、映画会社を実際に立ち上げ、脚本を買い付け、役者のスケジュールを抑え、ホテルで記者発表を行う。調べられてもいいように、本当に映画を撮る段取りをしている。そこまでやらんでもという、この細かさがすごいですね。

他にもいくつか救出作戦が立案されるが、最終的に残ったのが、もっとも現実味が薄く感じられる映画作戦だったのも面白い。革命のさなか、治安の悪いイランに行くというのは普通では考えられない。でも、その無謀さも「ハリウッドの連中は、儲けるためならなんだってやる」という自虐的な説明で納得させてしまう。説得力あるセリフですなー。

CIA職員トニー・メンデスを中心とした命がけの救出劇は確かに英雄的ですばらしい。だが、在イラン アメリカ大使館占拠事件が起きてしまったのも、また、CIAやアメリカによるものである。それは併記されなければいけないことだと思う。面白い映画でした。


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author:しゅん, category:-, 15:22
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再会
▼友人A子、M彦と会う。20代の頃、彼らと一緒に働いていたことがある。3人揃うのはずいぶん久しぶりのことで、前に会ったのはいつのことか思い出せない。A子が会うなり、口を開いて言ったのは「最近、ようやくタッチ読んだんだけど」ということだった。久しぶりに会って急にそれか。

タッチというのは、あだち充さんが描いた高校野球を題材にした野球漫画である。1986年発表ということで、もう発表から30年近くたっている。すると朝倉南も、もう50歳ぐらいなのか。あの南ちゃんが。プラセンタ100を貪り食い、コラーゲンや朝鮮人参、ウコンを飲みまくる。最近は膝の関節と腰痛、目の疲れが悩みの50歳である。嫌なことを書くなという。

A子はひとしきり、タッチのすばらしさを我々に語った。タッチが面白い作品だということはわかるが、何年かぶりに3人揃ったのに30分ぐらい延々とストーリーを語るのだ。熱く語っている様子がちょっと面白い。

で、ラストシーンまでようやくきて、いかにも感に堪えないというふうに「『上杉達也は朝倉南を一生愛し続けることを誓います』っていうセリフがー」というところで、M彦が口を挟んだ。

「誓う?誓うって、いったい何に対して誓うんだ?」「え‥‥、さあ?」「ふつう誓うというのは、神に対して誓うものだから、つまり上杉達也は有神論者ということになるね」「は?」「日本のカップルが結婚式で簡単に誓えるのは、本質的には彼らが無神論者だからだと思う。本当に神を畏れるのであれば、そんなに簡単に誓えはしない。だが、それを言うと欧米人も簡単に誓えないことになるはずだが、誓っている。これはどういうことだ!?」「さあ?」「信仰が欠如しているのに形骸化した儀式だけが残ったのか。仏作って魂いれずだな。向こうは仏じゃないけど。ウププー」「べつに面白くないけど」

「で、上杉達也は朝倉南を一生愛し続けると誓ったのか」「そうなの!電話ボックスから告白の電話をかけるシーンがー」「無理だな」「なんでよう!」「恋に落ちると人はPEAという恋愛ホルモンを分泌するが、同一の相手に対して分泌されるのは約3年だ」「だから?」「つまり『上杉達也は朝倉南に対して約3年の間、PEAを分泌します』なら、可能かもしれない」「それじゃあ愛の告白にならないでしょ!」「何を言っているんだ。大切なのは真実だ!そもそも、愛とは何かという定義が不明確なのがー」

という不毛な会話を聞きながら、わたしは現実と夢の境を行ったり来たりしていた。とても心地よい時間でした。
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author:しゅん, category:日常, 19:31
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