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- 寒い
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2012.01.31 Tuesday▼さむーいね。ほんと今年は寒い。おこたから出たくない。おこたと合体した生き物になりたい。朝、起きたらおこたになってましたとか、そんな小説ありましたよね。カフカのやつ。
▼きれいな缶が好きです。
紅茶の缶はきれいな物が多いですね。風月堂のミニゴーフルが入っている缶も好きです。そういった缶にお菓子を入れて、仕事の合間に食べるのが好きです。文にしてみるとかわいいな。かわいいおっさんではないか。
会社の引きだしに入っているハロッズの紅茶の缶を隣席のTさんが見つけた。
「かわいい缶ですね」と言うので、こういう缶を集めるのが好きなんだということを伝えた。それからは、何がどう伝わったのかわからないが社内の人間が缶をもってきてくれるようになった。
いや、そんな積極的に集めているわけじゃないんだ。しかし、せっかくだからともらっているうちに机の引き出しが缶でいっぱいになってしまった。で、わたしが言ったのは「きれいな缶」ということだったのだが、なぜかかわいい缶をくれる人達がいる。
今日はキティちゃんの缶を持ってきてくれた人がいた。あのー、三十代半ばのおっさんがですね、キティちゃんはちょっと違うのではないか。やはり似合う似合わないはある。そして、部長は何を聞いたのか飲み終わった缶コーヒーをもってきた。
「おまえ、空き缶集めてんだろ?」
おっさんの飲み終わった缶て、ちょっとしたパワハラではないか。わたしの引き出しはゴミ箱ではない。
▼年賀状が3枚しか来なかった。よそさまのサイトで「3、4枚来た」と書いたが、1枚サバを読んだ。そんな見栄を張ってしまった。3枚です。恐ろしいことにその3枚のうちの1枚で、切手シート(お年玉くじ)が当たっていた。
神様、今年の運はこれで使い果たしたのでしょうか?
今年終了の予感。
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- あんまり喋らない人たち 映画「迷子の警察音楽隊」
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2012.01.28 Saturday▼迷子の警察音楽隊
2007 / イスラエル・フランス・アメリカ / 監督:エラン・コリリン /人間ドラマ
「まったくもう、今の若いヤツは‥」などと言いそうな隊長。渋いです!
【あらすじ】
1990年代イスラエルが舞台。文化交流のためにエジプトから警察音楽隊がやってくる。しかし、手違いで迎えが来ない。自分達で目的地を目指した彼らは、間違えて一文字違いの別な町に着いてしまう。途方にくれた彼らだが、親切なイスラエルの人々に一晩泊めてもらうことから交流が始まる。
【みどころ】
古い人、若い人、違う国の人。話してみれば意外と交流できるかも。少し前の日本には、この隊長みたいな人もいたかもしれない。
【感想】
あまり起伏がないシナリオなので、オチもないですしネタバレもないのかな。実に静かな映画なんですね、セリフもあまりないし音楽もほとんどない。イスラエルってもっと栄えている印象があったのですが、ここに出てくる町は荒涼とした土地にポツポツと建物があるような感じです。
イスラエルとエジプトというと、どうしても政治的な重苦しい話をイメージするかもしれませんが、この映画ではその部分には直接触れません。触れないんですが、背後に音もなく、でも確かに流れているのを感じます。
警察音楽隊の隊長トゥフィーク(サッソン・ガーベイ)は少し古いタイプの人間です。エジプトから来ているので国の代表として恥ずかしくない振る舞いを心掛けているのがうかがえますし、音楽隊に迎えがなかったときも自分たちでなんとかしようとします。こういう人いいですね。
そういった按配なので、若手隊員カーレド(サーレフ・バクリ)とはうまくいってません。女好きですぐナンパするし。
カーレド(左、後姿)は道に迷ってご飯も食べてないから「飯食いたい!」って言う。思ったらすぐ言う人である。実は他のメンバーもそう思ってるんですが、言い出しにくかった。
右端の隊長は渋い顔ですが、他のメンバーは「よく言ってくれた!」と思ってます。現実にもこういうのあるなあ。
ナンパ中の隊員カーレドさん。女の人に夢中で、行き先を間違えます。
そして隊長には「おまえ即解雇な」と言われる。隊長、けっこう過激。
この後にカフェで食事を取って、もうこの日はバスがないことを知り、そこの親切な女主人ディナ(ロニ・エルカベッツ)と客?の家に泊めてもらうことになる。この映画、イスラエルとエジプトの人がお互い遠慮しつつもわかりあっていくのもそうなんですが、隊長と若手隊員という異なる世代の相互理解もテーマの一つだと思います。
それと興味深かったのは、エジプト人がほとんどしゃべんないことです。カフェの客の家に泊まることになった3人ですが、この人たちほんとに無口。隊長もですが。
ふつうはあまり親しくない人といても、その場を和ませるためになんとか話そうとしますが、そういう発想がないのかもしれません。そこが新鮮でした。話しかけられなければ、ずっと黙ってる。
で、泊めてくれた家族もあんまり歓迎してません。都合の悪いことや悪口はヘブライ語(イスラエルの公用語)でエジプト人にわからないように話します。エジプト人もアラビア語(エジプトの公用語)で仲間内でボソボソじゃべり、この家族と話すときは英語でしゃべります。
この作品でお酒がよく出てくるのですが、わたしはイスラム教は全面的に禁酒なのかと思っていました。ネットでみると、どうもそういうことではないらしいです。とても厳しい国ですと所持しているだけで逮捕もあるらしいですが、緩いところは緩いらしいという。違う国に行って飲んじゃうとか、結婚式はOKとかいろいろあるらしいですし、ここらへんの感覚は現地の人でないと難しいですね。
この左の太っちょの人が、しきりにグラスを拭いていてこの家の奥さんに「ちゃんと洗ってるわよ!」とヘブライ語で言われるシーンがあります。でも、この怒られた人って実はお酒を飲みたかったんじゃないかなあ。そんな気がしました。勧められても一応断りはするものの、でも本当は飲みたいという。
若手団員のカーレドもお酒の小瓶を隠し持ってますし、戒律に対する感覚も世代によって違うのかもしれません。その背景がわかると、より楽しめるかもしれません。エジプトとイスラエルに対するイメージが少し変わりました。
そういや、日本でいえばクラブにあたるのかもしれませんが、盛り場でローラースケートをやってました。ちゃんとDJもいたけど、なんか妙な感じだった。中東の暮らしがわかるような映画がもっと入ってきたら嬉しいなあ。
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- 食卓
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2012.01.28 Saturday▼昼、以前の会社の元上司とご飯を食べた。彼は五十歳ぐらいで、高田純次を猫背にして痩せさせた感じの人である。
注文した料理が出てきて、少し味が薄かったので醤油をかけた。その様子を見て「女の子に料理作ってもらっても醤油かけんの?」と訊かれた。
「憶えていないんですが、たぶんかけてたと思います」
すると、眉間にてのひらを当て、さも驚いた口調で「たはー!わかってない!それはわかってないよ!」と嘆かれる。
聞けば彼は、結婚してから一度たりとも奥さんの料理に調味料をかけたことはないそうである。ところが、彼の息子さんは平気で醤油なりソースなりをドバドバかけるらしい。
「もうさあ、アイツ、頭おかしいんだと思うんだよね。なんでそんなことできるんだろう」
「でも、薄かったらやっぱりかけるんじゃないですか?」
「もうそんなこと怖くてできない。やっぱり結局は血だと思うんだよね。子どもってのは血が繋がってるし、親子だから安心してるところがある。こっちにしてみれば奥さんは他人だし、これからも他人になる可能性がある人だからね。あの人」
「え。他人になりそうなんですか?」
「‥‥ならないとはいえないねえ。そうならないように、ものすごく気遣って生きてるからね」
「でも、醤油かけられないって、つらくないですか?」
「おまえ‥‥もう、バカ!醤油なんかかけたら大変だよ。何言われるかわかんない。奥さんてのは、男が大事に大事に育てた心の花園を爆撃機で焼き払う人たちだからね」
「そんなおおげさな」
「わかってないなー!わかってない!人生の機微を全然わかってないね」
「でも味の好みって、たとえば赤が好きか青が好きかみたいな話ですよね。それは個人個人の好みだから、どっちが間違ってるとかそういう話じゃ――」
「あー、もう駄目だね!口から生まれて来ちゃったね!そういうことじゃないんだよ。それじゃイスラエルとパレスチナの間に平和は訪れないんだよ。そういう人間に政治家になってほしくないね」
「なりません」
そういったですね、大変勉強になるんだかならないんだかわからない話をしました。しかし、世のダンナさんはそんなに気を遣って生きているのだろうか。でも、醤油をかければ味の調整がきく料理はいいとして、味噌汁などはどちらの味覚に寄せて作られるのだろう。
その味がダンナさん寄りか奥さん寄りかで、どちらが家庭の主導権を握っているかわかるのかな。
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- 140字
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2012.01.27 Friday▼わたしの日記は長すぎると思ってました。140字でまとめる習慣がつけば、もっと簡潔になるかもしれない。普段の日記とは別に、毎日140字以内で何か書
00:11
▼140字とはこんなに短かったのか。途中で切れてしまった。そう、まるで人生のように。困ったら「人生のように」とつけるとたいてい大丈夫。
11:50
▼ハドロン粒子加速器でブラックホールを生成する実験というのがあります。ブラックホールが生成可能で、いつかはビッグバンも再現可能とするなら、
そこで生命が誕生した場合、人は神になるのだろうか。というか、重ねて思うのは140字の短さ。そうまるで人生のように。
11:53
▼昇順のほうが読みやすいと思ったので、タイムラインは昇順にしました。ここまで書いてきて思ったのは「ツイッターやりゃいいじゃん」という。
12:07
▼でも、そうするとまったくブログを書かなくなるのは目に見えている。そろそろ昼に行くか。などと実況を続けるなら、ずっと書き続けられるのではないか。
お、ビールちゃんが帰ってきた。ビールちゃんとは部長のあだ名である。なんで、ビールちゃんなのだろう。ビール腹だからかなあ。
ここはひとつ本人に確認すべきか。すべきではない。今後の仕事を自分から失う必要もない。
あだ名といえば、ドイツの新聞がQちゃん(高橋尚子さん)につけた「スシターボ」が好きだった。なんて乱暴な。加藤鷹なら「スシファック」ということか。
わたし、やはりツイッターは向いていないような気がする。事故る気がする。壮絶に事故りそうだ。
12:23
▼昼は魚を食べようかなあ。魚に含まれるDHAは鬱病予防に効果があります。日本人は40年ほど前は先進国間で鬱病発症率が最低だったというデータ
があったと思います。しかし、この短い中にソースも書かなければならないとするとなかなか大変ですね。書かんけど。どうしても肉に偏りがちだなー。
12:37
▼昼ごはんを食べたときにちょっと面白い話になったものの、とても140字に収まらんから書けん。あー、140字という縛りがなければなー。
帰って書こう。そうしよう。別の話書く。アンネの日記をオランダで買おうとしたら「日本人には売れない」と本屋を追い出されたという話を聞いた。
ウィキペディアを見たら同様の記述があって、第二次大戦中にドイツと日本は同盟国で、そのドイツがアンネ・フランクを殺したから、
日本人にも売れないというわけである。なるほどと思いました。ちょっと気になるのは、この話をしてくれた人の実体験なのか、
ウィキの話をそのまま言っただけなのか、肝心のところを聞き忘れてしまった。にしても、140字は書きづらい。もうやめていいですか!やめます!
よもや開始半日で音をあげるとは。いや、ずーっとだらだら書いてられるから、それは時間をとりすぎるし。ごめんなさい。
17:59
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- 映画「パンズ・ラビリンス」
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2012.01.26 Thursday▼パンズ・ラビリンス
2006 / メキシコ・スペイン・アメリカ / 監督:ギレルモ・デル・トロ / ファンタジー
【あらすじ】
スペイン内戦で父親を亡くした少女オフェリア。彼女は母親と友に、母親の再婚相手である独裁政権軍のビダル大尉に引き取られ、森の中にある軍の砦に住むことになった。大尉の冷酷な態度、レジスタンスとの抗争など、砦の暮らしはオフェリアにとって楽しいものではなかった。ある夜、オフェリアの前に妖精があらわれ、彼女を森の奥の迷宮へ導く。
【みどころ】
幻想的な迷宮世界、そこに棲む怪しい生き物。お薦めです。
【感想】 ネタバレしてます。
「ハリー・ポッターと賢者の石」と似たファンタジーかと思っていました。始まった直後に、無実の狩人がワインの瓶底で鼻を何度も殴られて殺されるあたりから、「あ。違うんだ」とね。始まって5分だけど。
けっこうきつい描写が多いです。わたしは痛そうな描写が苦手なのですが、この映画はシナリオだけでなく、映像、音楽もいいのでそれだけで観ないのは惜しい気もします。あと、虫も出る。巨大ダンゴ虫が、体を這うよ!
映画は二つのパートから成っていて、砦での暮らしの現実部分、理想の王国に行くために牧神から与えられた試練に挑む幻想部分に分かれます。しかし、この幻想がオフェリアが現実から逃れるために作り出した妄想なのか、本当に存在すると捉えるかは観客にゆだねられています。その部分が明示されないということは観客の好きにとればいいということでしょう。
わたしは、この幻想は、オフェリアの生み出した妄想だと思いました。ラストシーンは、オフェリアを地底の王国で王、女王、牧神が出迎えて終わります。この王は、スペイン内戦で死亡した彼女の父親(作品内に登場していない)らしき人物、女王は彼女の母親でした。そして、椅子に1つ空きがあり、それはこの王国の王女である彼女のための椅子なのでしょう。これが彼女が望んだ理想の世界なんだと思います。
ラストでオフェリアを殺さないという選択もあったのではと考えました。オフェリアが王国にたどりついて、めでたしめでたしというような。でも監督はその選択をしませんでした。
オフェリアというのは、スペイン内戦とそれ以降続くことになった戦いで死亡した人々の象徴であり、だからオフェリアが死なないというのはありえない。そこで多くの命が失われたということをなしにすることはできない。しかし、せめて彼らは死後、彼らの望む世界で幸せになってほしいという願いを表したのがあのラストシーンと解釈しました。
【お気に入りシーン】
この映画、キャラがまったくかわいくないんですね。牧神もなんだか気味が悪いし、生肉のような切れ端をクチャクチャ食べているシーンがあります。妖精も、かわいらしい姿とはほど遠く、どちらかというと悪魔っぽい。全体的に不気味。
ちょっと笑ってしまったのが、オフェリアが牧神に命じられて短剣を取りに行くシーンである。牧神は「ご馳走が置いてあるけど絶対食べるな」と言います。
奥に座っているのが番人です。ご馳走がたくさん並んでます。
番人を確認するオフェリア。
盗み食いする気マンマンである。
ブドウ、一粒ぐらいならいいよね?
ということで食べよう食べよう。
妖精さんはとめています。
キーキーうるさい妖精に、むかつくオフェリアさん。「うるせーな、コイツ」という顔がいい。
この後、妖精を手で払いのけます。
で、ブドウを食べると‥‥。
オハヨウゴザイマース!
この世界で大ブームの挨拶のしかた。
ステキすぎる。
ブドウうめー!ってんで、まったく気づかないオフェリアさん。
志村ー!うしろ!うしろ!の名シーン。
古典である。
妖精うめー!
必死に両手で口の辺りを抑えて抵抗する妖精さん。食われます。全体的にオフェリアが悪い。この後、オフェリアも追っかけられる。
大人気の番人さんをもう一枚。べつに顔の部分に手を持っていかなくてもいいのに。おもしろいからやってしまうサービス精神。さすが番人様。おもしろ怖い。
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- 人生いろいろ 映画「二重誘拐」
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2012.01.25 Wednesday▼二重誘拐
2004 / 米・独 / 監督:ピーター・ジャン・ブレッジ / サスペンス・ミステリー
【あらすじ】
レンタカー事業で成功を収めたロバート・レッドフォードが誘拐されます。妻は、ヘレン・ミレン。誘拐犯は、ウィレム・デフォー。好きな役者が揃っています。
【感想】 ネタバレなしです。
なんだか不思議なミステリーでした。とてものんびりしてるんですね。緊迫感がまったくない。ただ、この作品は誘拐犯と警察の攻防や、アクションシーンなど、そういったところにはまったく重きを置いていません。被害者と誘拐犯の歩んできた道、そして幸せとは何かみたいなものを描きたかったんじゃないでしょうか。たぶん。たぶんね。
ロバート・レッドフォードが誘拐された後、妻であるヘレン・ミレンはその事実を知りながらもいつもどおりに自宅のプールで泳ぎます。すーっと優雅に平泳ぎをします。この描写が面白かった。夫が誘拐されてんのになんで泳いでんの?という。
だけど、案外こんなものかもしれない。どんな大事件が起こっても日常は存在するし、お腹も空くし眠くもなる。トイレにも行きたくなる。だからプールで、すーっと泳ぐのもありなんだと思う。で、夫を心配していないかというとそんなことはなくて、気持ちを落ち着けるように泳いでいる。習慣というのはそういうものかもしれない。
ただ、孫の誕生日プレゼントを買いに行ったりもするんですよね。それはいらないんじゃないのか。で、みんなして孫の1歳の誕生日を祝います。
「ハッピーバースデー!」って、そりゃそうだけど、ダンナは誘拐されています。
そして、誘拐犯の足取りを追っていくうちにFBIは夫の浮気の証拠を見つけてしまう。それを妻に教えます。ロバート・レッドフォードにしてみれば「なにしてくれんじゃあ!」といったところでしょうか。その浮気相手、今回の事件とまったく関係ない。余計な仕事である。
ヘレン・ミレンはこの浮気相手の家に行きます。誘拐事件はほっといていいのか。いいんです!
で、いろいろと浮気相手にひどいことを言う。しかし、浮気相手は嫌な感じの人ではなくて、むしろちょっといい人っぽい。そんで、夫のことを「すばらしい人」みたいに言う。そこにまた腹を立てる。
奥さんにしてみれば、いっそ体だけが目当てだったらよかったのに、けっこう本気でのめり込んでいやがったな、アイツ!ということでプンスカきてます。最終的には夫を許すんですが。こういう描写も面白いですね。もっとこの浮気相手が登場してもよかったかも。
そんな中、ロバート・レッドフォードとウィレム・デフォーは目的地までハイキング。休憩のときにはお互いの対照的な人生について語ります。仲良くお茶なんか飲んじゃいます。一見、成功者に見える人の人生も順風満帆なんてことはない、逆に悪いだけの人生もないとかそんな話。手前は、その話を神妙に聞く誘拐犯。
正直なところ、この映画そんなに面白くないんですね。トリックは一応あるけど予想はつくしオチもなんてことない。誘拐というより、しみじみと人生について考えるような、これはこれでいい映画です。
ただ、邦題の「二重誘拐」というタイトルはおかしい。原題は「The Clearing」(精算、掃除)で、まったく意味が違う。二つ目の誘拐などどこにも起きていない。もし誘拐されたとすれば、それはこのタイトルでいろいろと期待してしまったわたしの期待感ではないでしょうか!なんつって。
中古は、まさかの1円ですね。
- 言わない人 小説「亡国のイージス」
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2012.01.24 Tuesday▼芥川賞受賞の記者会見を見ました。面白かったです。
ちょっと過激な田中さんと、理知的で温和に見える円城さんという対照的なお二人で、久しぶりに受賞作を読んでみようかなと思いました。田中さんは携帯電話もPCも持ってないそうで、今はそういったものに触れないで生活するほうが難しいと思うのだけど、そういう人が書く小説とはどんなものだろうと興味があります。
友人に、田中さんのように携帯電話もPCも使わない人間がいます。彼も少し変わっている。わたしは彼にだけは年賀状を出すようにしています。メールアドレスはないし、他に連絡のとりようがないんですね。彼と会うときは、何日か前からFAXでやりとりをして集合場所や時間を決めます。電話で連絡をとれればいいのですが、基本的に電話には出ない人間なのである。なんて面倒な。
あれでよく生活できてるなと感心する。彼はとても無口で落ち着いている。彼と二人でいるときにわたしがしゃべらないとずっと黙っています。彼とは高校時代の友人です。何ヶ月か前に彼に会ったのだけど、そのときに彼が鉄道のことを話しだした。彼が自分から話し出すのはすごく珍しい。他の友人に、彼が自分から話し出したといっても信じてくれないかもしれない。ごくまれで特殊なケースである。
わたし:わざわざ九州新幹線乗ったって、鉄道が趣味だったんだ?
友人D:うん。
わ:なんで今まで言わないの?鉄道が趣味って。
D:いや、聞かれなかったから。
わ:ま、聞かないけどさ。突然「鉄道が趣味ですか?」って。
D:うん。
わ:いや、でもさー。「今、これに凝ってるんだけど」みたいなこと言わない?
D:凝ってるっていうほど詳しくないから。
わ:そうか。鉄道っていってもいろいろあると思うけど、どういう趣味なの?
D:主に乗るほうかな。
わ:乗り鉄ってやつね。けっこう乗ってるの?
D:全然。
わ:そうなんだ。どれぐらい乗ったら鉄道マニアの間では詳しいってことになるの?
D:詳しいって言う気なら、全部じゃない?
わ:なに全部って?
D:日本の路線全部。
わ:え?なにそういうレベル?Dはどれぐらい乗ってるの?
D:だいたい乗ってるけど全部は乗ってない。
わ:それってものすごく詳しいってことじゃない?
D:いや、そんなことはない。ただ乗ったっていうだけだし。音を聞いてなに線か正確にあてられないし。
わ:音って。あのガタンゴトンいう音?
D:そう。なに線ていうか、正確にはなんの車両かっていう話だけど。
わ:もうビックリ人間レベルじゃん。
D:いや、そんなことはない。わかる人はほぼ全部わかるんじゃないかなあ。
わ:すごいね。なんなの?JRなの?
D:いや、JRじゃない。JRというのは会社だ。
わ:真面目に否定されても‥‥。しかしだね、我々、高校一年の頃からの付き合いですね。
D:うん。
わ:ここまでくるのに20年ぐらいかかってるんだけど、鉄道マニアだっていっさい言わなかったね。
D:うん。
わ:なんで?
D:だから、聞かれなかったから。
わ:そうだけど。「あれ、そういえば鉄道マニアですか?」ってならないでしょ。
D:うん。
わ:それはそっちから、こう、小出しにしてもらわないと。
D:そうかなあ。
わ:べつに隠してるんじゃないんだよね?
D:うん。
わ:言わないだけなんだよね。
D:うん。
わ:言ってこう!これからはどんどん言ってこう!そういうの。20年たっちゃったけど。
D:うん。聞かれたら。
わ:聞かれたらか。あれ、ひょっとして他にも詳しいのあるんじゃないの?
D:ない。
わ:そうかあ?じゃあ、映画は?
D:映画は‥‥少し観る。
わ:そうなんだ。少しってどれぐらい?
D:年に、300本ぐらい。
わ:少しじゃないじゃん!かなり観てるほうでしょ、それ。
D:いや、淀川長治さんは一日二本以上観てたからね。
わ:そりゃ、仕事だからね。淀川長冶は。
D:淀川さんね。
わ:あ、はい。淀川さん。
D:そう。
わ:ものすごく尊敬してんのね。
D:いや、そんなでもない。
わ:他にも何か詳しいのあんの?
D:いや、これといってないんだけど。強いて言うなら‥‥。
わ:待って、待って。もう、なんか話すの怖いわー。
しかし、20年もよく言わないでいられたと感心する。彼の場合はずっと言わないでも平気なのだろう。コレクターには、コレクションを人に見せて自慢する人と、それをひっそりと自分で楽しむ人がいるというけれど、彼はそれでいえば後者のタイプである。わたしなど、すぐ「ねー、ねー、この話しってる?」と言いたがるから、つくづく軽薄である。
▼小説「亡国のイージス」 福井晴敏
久しぶりに軍事小説を読んだのですが面白かったです。海上自衛隊のイージス艦を舞台にしたハリウッド映画のような壮大な話だった。そして熱い。
組織と、組織を構成する人の関係について考えさせられた。組織のために個人はどこまで犠牲になってよいものかという。組織は多くの人で構成されている。だが、そのために犠牲にならざるをえない個人も組織の一部である。それを考えれば、犠牲になってよい個人などいないことになる。
これは小説なので、そういった極限状況が頻出するが身近に置き換えてもこういうケースはあるように思う。会社の経営が苦しくてリストラしなければならない場合がそうである。でも、そういう方向に話をもってくと、全然楽しめないのでやめときます。
それと、人が動くときの理由が興味深かった。脅されたり、暴力を振るわれたり、お金をもらったり、もちろんそういうことでも動く。ただ、自分から動くときっていうのは、相手の熱意やひたむきさ、その人がいい人だとか、そんなことが多い。相手が頭がいいからやろうとか、権力があるからとか、そういうことではないように思う。
先任伍長の仙石、いそかぜ艦長の宮津、工作員のヨンファなど、それぞれが多くの人を動かすのですが、なぜ動くのかという観点からみても面白いです。軍事用語や艦の構造など、いささか冗長と思える部分もあり、興味がない人にはつらいかもしれません。犯罪の動機、工作員の能力が突出しすぎてる、計画に無理(航空機爆破からの脱出)があるなど、いくつか欠点はあるかと思いますが、それでもとても引き込まれました。事件が起きるまでは少し退屈でしたが、途中からは読み進めるのが楽しくてワクワクできる作品でした。
組織のために個人が犠牲になることは避けがたいにしろ、それでも組織は個人を犠牲にしない方法を考え続けなければならない。そして、もしどうしても誰かが犠牲にならざるをえない場合、その組織は守る価値のあるものでなければならないと思いました。
長い小説ですが、お時間ある方は是非是非。お薦めです。
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- 初雪
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2012.01.21 Saturday▼今年の初雪は1月20日。おそらく日記らしいことを書くのは初雪の記述ぐらいではないでしょうか。1年に1度だけ日記のようになる。
この日記はそもそも日付も適当だし、過去のことも書くし、気に入らなくて書きなおすこともある。すると、これは日記なのか。日記と名乗っていいものか。毎日書いてないし。どう名付ければいいのだろう。日記のようなもの。日記っぽいなにか。日記風。
玉川上水日記もどき、と名乗ればいいのか。いよいよわからないものを書いている。
▼パン焼きの失敗
真ん中がべこっとへこんでしまった。わかりやすいようにペットボトルの蓋を置いてみました。凹む(へこむ)という漢字はよくできている。まさにその形に凹んだ。
ドライイーストを入れすぎて過発酵という状態になったらしい。ふっくらせず、小麦粉が詰まりすぎて、少しだけパウンドケーキに似た味だった。幼き日に母が焼いてくれたケーキを思わせる懐かしい味だった。
まあ、嘘なんですけど。ちょっといい話っぽい嘘。これからもどんどんついていきます。油断するな!
変な終わり方。
▼コメントやメールで「過去の日記から読んでいる」と書いていただくことがあります。嬉しいやら、ありがたいやらですが、はたして過去のものって大丈夫だろうかと不安になって読み返してみました。
駄目でした。大量に削除し、一部修正。日記なのに修正というのも変ですけど。直していて思ったのですが、書き足すっていうことはほとんどないんですね。削ることが多い。いかに書くかというより、いかに余計なことを書かないかということが大切なのかもしれない。
ついいろいろ詰め込みたくなるんですが、関係ないことが多すぎる。それが読み手のリズムを悪くする。などと、日記もどきが偉そうなことを。
修正作業も、あまりの量に「なんでこんなにたくさん書いてんだ!ヒマか!」となり、途中で投げ出した。根気がない。
過去にコメントやらメールやら頂いたものなど。よろしければ。
・カフェでノートPCを使うオシャレさん
・ヨーグルト
▼年末に、今年観た面白かった映画などを挙げようかなと思ってました。よそのサイトでそういうことをやっていて、うらやましかった。そんなことを思ったまま1月後半突入。そんで、わたしはあまり新しいものを観ていなかった。だから去年から最近にかけてみたお薦めを適当にあげてみます。需要があるかわかりませんが。
・善き人のためのソナタ
主人公は、東独の秘密警察に勤めています。盗聴します。腐敗した国家、その中の一条の光。
・涼宮ハルヒの消失
ここがあそこで、あそこがここで、なるほどこう繋がるのかー。見事にいろいろ繋がった。これはこのままインセプションの感想にも使えそうだけど。
・インセプション
今どこにいるんだっけ?あれー?っていう作品。ワクワクします。
他にも売れないバンドを追ったドキュメンタリー「ANVIL!」、じいちゃんとばあちゃんのコーラスをとりあげた「ヤング@ハート」が良かったですね。老人に限界がないことが証明されました。
JUGEMテーマ:日記・一般
- 腹筋が割れてる人だけ参戦可能 / 映画「300」
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2012.01.17 Tuesday▼300<スリーハンドレッド> / 2007 米
【あらすじ】
紀元前480年。スパルタ王レオニダス(真ん中の人)が300人の軍勢で、ペルシャ軍100万を率いるクセルクセス(右の人)を迎え撃ちます。
【みどころ】
腹筋。 割れに割れている。300人全員割れています。
【感想】
とにかくみんな変なカッコをしている。スパルタ軍は300人しかいないのに鎧をつけません。筋肉に海パン一丁みたいなカッコで戦います。そう、大胸筋に割れた腹筋、たくましい上腕二頭筋、筋肉こそが俺たちの鎧だぜ!とばかり。困った軍隊だ。
そしてペルシャ軍も負けずおとらず変である。特にペルシャ王クセルクセスは変。
ででーん!我をあがめよー。
こちらも負けじと海パン一丁。
実はこれ祭壇の上にいるのではありません。これは椅子が付いている巨大な御輿で、王様はこれで移動します。この御輿をアルバイトの方々が20人ぐらいで担いでいます。大変だ。この御輿を降りるときは、その担いでいる人たちが前に出てきて、王の前にかがみこみ、人間の階段を作ります。王は、その背中の上を歩いて降りるのがお好き。困った人だ。
クセルクセスにスパルタ軍の裏切り者が謁見する場面も変である。王に謁見している最中なのに、複数の女がクネクネと、裏切り者の男にまとわりついている。股の下にもいたりする。で、それをまったく気にしないクセルクセス。器が大きいとかじゃなく、頭がおかしい。みんなおかしい。
困った人 VS 困った人
この映画、戦闘シーンがとてもきれいです。スローモーションと早送りを効果的に使用し、観ていて飽きません。スパルタ軍の真紅のマントが、セピア色に統一された画面に映えて美しい。
登場人物、戦闘シーン、衣装、すべて派手で良かったです。
- 映画「ラブ・アクチュアリー」
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2012.01.14 Saturdayラブ・アクチュアリー
Love Actually / 2003年 / イギリス、アメリカ / 監督:リチャード・カーティス / ラブコメディ
【あらすじ】
男女19人によるラブストーリー。短編をいくつも繋げたような形式のクリスマスにぴったりな作品。
【感想】
変な感じにひねっておらず、素直に楽しめるラブコメディ。笑わせたり、ホロッとさせられたり、あっという間に時間がたちます。ちょっとお色気シーンもありますので子供と観る時には注意というか、チチが出る。
■左)マルティン・マカッチョン、中)ヒュー・グラント、右)エマ・トンプソン
英国首相役のヒュー・グラント、メイド(秘書?)役のマルティン・マカッチョンは相思相愛。お似合いですね。
ヒュー・グラントはよかったですねー。首相官邸でのノリノリのダンスや、子どもたちに聖歌を歌わされて困っているとき、突然SPが一緒に歌いだしてビックリする顔とか。
ヒュー・グラントは首相ですから、立場上とても強いのですが、その冗談が嫌味に聞こえないのが良かった。メイドのマルティンが、自分の住んでいる所を「ダサい所」というのだけど、それに対して「うん。あそこはたしかにダサい」と言う。育ちのよさが嫌味にならないタイプ。素直なんですね。そういうことは、すごく大事だと思う。
エマ・トンプソンはちょっとかわいそうでしたね。ダンナの浮気疑惑がありつつも、家族の前で気丈に振舞うところとか。
■左)ハイケ・マカッシュ 右)アラン・リックマン
上記のエマ・トンプソンのダンナで、会社を経営するアラン・リックマン。浮気5秒前。赤い角を生やした小悪魔社員ハイケ・マカッシュに言い寄られます。
こんな娘に迫られたらしかたない。無罪!
■中)クリス・マーシャル
上記のハイケ・マカッシュが袖にした、まったくもてない男クリス・マーシャル。
もてたいという、ただ一つの理由でアメリカに行きます。完全に不純な動機というのがすばらしい。すると「イギリス男の発音がかわいい!」とかで、女の子にもてまくり。調子に乗りまくり。
そんな簡単にいくかね、諸君。
■左)マーティン・フリーマン 右)ジョアンナ・ペイジ
とてもシャイなのに、なぜかアダルトビデオに出演して出会う二人。どういうことだ。
実はもっとも初々しいカップルはこの二人かも。お互い裸なのに、かしこまった会話が面白い。
■左)ロドリゴ・サントロ 右)ローラ・リニー
病気の弟が気になって、恋愛に踏み切れないローラ・リニー。踏み出さないことが本当に弟のためになっているのかはよくわからない。
ロドリゴ・サントロは上腕二頭筋がすごい。
■左)リーアム・ニーソン 右)トーマス・サングスター
義理の息子との関係に悩んでいたリーアム・ニーソン。息子が部屋に閉じこもりっきりで心配している。その態度の原因が、片思いにあったとわかり一安心。
「なんだー、おまえー、片思いかー、フヒヒヒヒ」のリーアムとうさん。
カットされたシーン(DVD特典に収録)の中で、トーマスが空港内で体操選手のような動きで警備員をまくシーンがあった。あれはカットして正解だと思う。さすがに、ちょっとやりすぎなので。片思いの相手の子は、歌がとても上手。そこも見所。
■左)コリン・ファース 右)ルシア・モニス
言葉が通じない二人の恋愛。
その昔、悪役レスラーのタイガージェットシンが来日したとき、レフェリーのミスター高橋が世話をしたが、二人は言葉が通じなくてもうまくいっていたという。
だが、シンの日本語が達者になるにつれて、二人の関係はギクシャクしていく。まるで、関係ない話を書きました。この二人は大丈夫でしょう。
最後はロミオとジュリエットの一シーンみたいでしたね。
■左)アンドリュー・リンカーン 右)キーラ・ナイトレイ
忍耐の男アンドリュー・リンカーン。結婚式の演奏の演出がすてきです。そのVTRを確認しているシーンで真実に気づくのですが、これは騙されました。ゲイだと思ってた。友情に厚いナイスガイ。
いい男やのう!
■ビル・ナイ
いまや過去のミュージシャンのビル・ナイ。このクリスマスソングに再起をかけます。
マネージャーが一生懸命にプロモーションをしてくれるのに、足を引っ張るようなことばかりやります。困った人である。
しかし、彼とマネージャーの関係は本当に良かったですね。ローリング・ストーンズの曲の歌詞を思い出しました。
「目の前にいい女が通ったけど、俺は声をかけない。
なぜなら、俺は今、友だちを待ってるんだ」みたいなやつです。そんなこと歌うほどのことかと思うけど。ちょっといい。
■ローワン・アトキンソン
マイペースな店員役で登場。しかし、この人、表情読めませんね。
この作品をレンタルするとき、タイトルをど忘れしたので店員に訊ねました。
「ラブコメで、Mr.ビーンの人も出ていて、すごく大勢の人が出るやつなんですけど‥‥」「わかりました!」と、彼が張り切って連れていってくれた棚が、Mr.ビーンのところだった。
いやいや、それなら自分でMr.ビーンのところに行くわ。Mr.ビーンて、自分で言ってるから。
「そういえば、ちょっとクリスマスっぽいデザインだったかなあ」と言ったところ、彼が「わかりました!」と再び連れていってくれたところは、「オーシャンズ12」のDVDだった。
たしかに色は似てて大勢いてクリスマスっぽい。似ていなくもない‥‥、のか。自力で思い出しました。
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