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- 電車
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2011.11.30 Wednesday▼電車のラッシュの時間というのは、よくトラブルが起こる。そもそもあんな狭い所に押し込められているのだからイライラしないほうがおかしい。わたしの前に立っていた二人の男が、足を踏んだ、踏まないで口論になった。踏まれたと主張した男の口調が激しかったせいか、つかみ合いが始まった。
目の前でやられたので止めたけど、「あー、これはわたしも巻き込まれて殴られるかもしれん」と思った。それぐらい殺気立っていた。怖いですね。もう、わたしなど喧嘩はからきしである。でも、ただ殴られるのは悔しい。なので、殴ったやつが夢でうなされるほどの痛がり方をしてやりたい。白目をむいて口から泡を吹き、死んだと思わせて焦らせたい。これぞ弱者の美学。よくわからないけど。
幸いそんなことをする必要もなく、周りの人たちもその二人をなだめてくれたので無事おさまりました。
▼だいぶ前にもトラブルではないけど電車内でちょっとしたことがあった。わたしが大学生の頃、春休みにバイトを一ヶ月ぐらいした。その会社に七十代半ばぐらいの老人がいた。会長と呼ばれており、たしかその会社の創業者だったと思う。とてもおおらかで、しょっちゅう冗談を言っているような気さくな人だった。「もう、これぐらいの歳になると、なんでもいいんだ」が口癖の人だった。
ある日、その会長から荷物を取りに行くからついて来いと言われ、二人で電車に乗った。たいして混んではいないものの座席は埋まっていた。会長が辺りを見回すと、一人で二人分の座席を占領している若い男を見つけた。足を投げ出して、座席からずり落ちたような姿勢で座っている。彼が詰めてくれれば、あと一人座れるだろう。
会長は、ひょこひょことその男に近づいた。
「あれえ、ずいぶん足が長いんだなあ」
男は、会長をにらみつけたが何も言わなかった。
「ちょっと詰めてくれると助かるんだけどね。ほら、わし、ジジイだから‥‥、はっはっは!」
会長は自分の言葉で笑っていた。男はうっとうしそうな様子をしたものの渋々といった様子で席を詰めてくれた。
「ありがとう。ありがとう。いやあ、親切で助かりました」
どうなることかとヒヤヒヤしていたが、会長はまったく気にする様子もなかった。
駅に停車し扉が開いた。すると、会長より少し上、八十歳ぐらいに見えるおばあさんと付き添いの娘だろうか、六十歳ぐらいの女性が乗って来た。会長は軽く手を挙げて挨拶した。あまりにも自然な様子だったので知り合いかと思ったがそうではなかった。
「ここ空いてますよ。どうぞどうぞ」そう言って、自分の席を指した。おばあさんに席を譲った。おばあさんや付き添いの女性にお礼を言われた会長は、「いやあ、なにもなにも」と顔の前で手を振り、とても楽しそうである。そして、「わたしもさっきこちらの親切な人に譲っていただいてね」と、隣の若い男を手のひらで示した。親切もなにも、初めから二人分占領していた迷惑な奴である。
ふと付き添いの女性を見ると、ずいぶんたくさんの荷物を持っている。会長が少し会話を交わしたが、入院の準備と言っていたようである。会長が男に言った。
「こちらの方も重そうな荷物を持ってるから、申し訳ないけどちょっと席を代わってもらえんかねえ」
男は、無言で立ち上がった。おばあさんや付き添いの女性、会長からお礼を言われて満更でもない様子だった。男が降りるとき、またみんなでお礼を言っていた。彼も、少し頭を下げて降りていった。
尖っている人に、尖った態度で臨めば喧嘩になってしまうだろう。当初、足を投げ出していた男は、文句をつけてくる奴がいれば喧嘩をしてもよいと思っていたのではないか。そんな投げ遣りな様子だった。あの態度ならば他の客が注意したとき、揉め事になっていたと思う。そうすると、会長はあの二人の婦人に席を譲っただけでなく、他で起きたかもしれない揉め事も事前に防いだことになる。あんなに丸く物事を収めるなど僕にはとてもできそうにない。
「わしは高校も大学も出とらんから、まー、君たちのように優秀ではないし、なんもわからんけど」と、しばしばおっしゃっていた。だが、あれから十五年ほど経ったが遠く遠く及ばない。あんなにひょうひょうとしてくだらない冗談ばかり言っている、そんなすてきな人になりたいものである。
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- 江戸の下半身事情 / 永井 義男
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2011.11.28 Monday▼大きい石をひっくり返してみたら見たこともないような変な虫がいてギョッとするような感覚というか、教科書では取り上げられないような歴史の側面が垣間見られます。現代人の感覚とまったく異なる部分があり、そのギャップが興味深いです。本書にあったエピソードをいくつか紹介してみます。
小間物屋の女房のお杉が若い頃に武家屋敷で下女奉公をしていた。しかし、それを隠すため見栄を張って、昔は女郎だったと彫り物(○○命など、二の腕に彫った刺青)を見せびらかしていた。武家屋敷の下女奉公より女郎だったほうが世間体がよかったという、ちょっと今では考えられない感覚である。
遊女というと、その職業を恥じて生きているかと思っていたのですがこの本をみるとどうもそうではない。というのも、現代では基本的に本人の自由意志で売春を行うが、江戸時代は生活苦から親が幼い娘を妓桜に売っており、その事情を世間が知っているため、遊女は「親孝行をした女」と理解するのが江戸の一般的な社会通念だったとある。
その他にも、妾が職業だっというエピソードが紹介されている。口入屋という職業斡旋所を介して、富裕な商人などが年季と給金を取り決め雇い、きちんと契約の証文を取り交わしたとある。
この本で印象的だったのは、江戸時代に対する現代人の過大な評価についてである。著者が前書きで触れているが、江戸時代はエコでリサイクルが発達していたとか、たしかにそういう面はあるものの、それにはそうせざるをえない環境に置かれていたにすぎない。むしろ制約のほうが多い。
人身売買や身分制度、刑罰の軽重の偏りや、プライバシーの無さ(長屋なので周囲に音が筒抜け)、風俗産業で働く人間の性病の蔓延、水銀などを用いた危険な中絶方法など、とても江戸時代が理想的な時代だったとは言い難い。ただ、その環境からくる開けっぴろげさというか、ある種の開き直りや諦めなども想像することができ、ある面では伸びやかさもあったのではないかと憧れを深めもした。
英雄や豪傑はまったく出てこない。だが、大火で家が焼き払われても、さっさと次の家を作り出すような江戸の庶民の力強さ、したたかさが本書の端々に満ちている。そういった庶民の歴史を知ることで、さらに歴史理解に厚味が増すように思えました。まあ、人間は時代は違えどおんなじような事をやって生きてきたんだなあと、呆れるようなホッとするような気分になれました。
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- 身近な人の職業 映画「ぼくのエリ 200歳の少女」
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2011.11.26 Saturday▼友人夫婦の家にお邪魔した。友人夫婦の子ハナちゃん(小学校4年)と話す。身近な人の職業について書くという宿題が出されているという。
彼女の父親は会社員だが、子どもから見た会社員などは実に平凡である。大人になれば、業種、役職、部署によって苦労も違うことがわかるだろう。だが、子どもにとっては会社員は会社員でしかない。
父親の会社員という職業について「地味で華がない」と切り捨てていた。そんな地味で華がなくてケチで飽きっぽくて好き嫌いが多くて運動神経が悪くて見た目もパッとしない人でもハナちゃんを育ててくれているのだし、そんなに悪く言ってはいけない。そこまでは言ってない。
殺し屋だったり石油王だったりすれば書くこともあるのだろうけど、だいたいは平凡なのである。父親はパッとしないので、母親について書くと言っていた。
「おかあさんは、DSの『おいでよ、どうぶつの森』が大好きで一日中やっています」という書き出しだった。一日中て。母親にばれないか心配である。うまいこと隠し通してほしい。授業参観のときに発表するらしいので、わたしも今から楽しみである。観に行っていいですか、血の雨が降るのを。
▼ぼくのエリ 200歳の少女 / 瑞 2008
スウェーデンは漢字で瑞典と書くそうである。国名漢字は言ったもんがちみたいなところがあるね。強引である。
で、けっこう珍しいスウェーデン映画である。両親からも受け入れられず、学校でも居場所がない少年オスカー、ヴァンパイアであることを隠して生き続ける少女エリ、孤独を抱えた二人は自然と惹かれあっていく。
ヴァンパイアものというと、殺人シーンを派手な効果を使用してかっこよく撮るか、はたまた美しく撮るかのどちらかが多い。この映画は、その描写がわりと生々しい。エリの口の周りが血だらけになるシーンがある。人間の血を飲まなければ生きられないし、人を殺せば血まみれにもなるという部分を逃げずに描写していて、好感がもてました。
その血だらけの口でキスをするシーンがあるのだけど、ヴァンパイアである自分を受け入れてほしい、孤独から逃れたいというエリの強い想いが感じられた。
そしてなにより主演の二人がとてもきれいだった。かわいいというより、本当にきれいなんですね。北欧の雪深く静謐な雰囲気、音楽も良かったです。
▼SONY 「消えたミチルの鳥」キャンペーン
クイズを解いて100万円がもらえるキャンペーン。ツイッターのアカウントがあれば参加できます。ぽるかさんに教えていただきました。
http://www.sony.jp/nav-u/contents/challenge/
しかし、問題が送られてこないので困った。すでに送られている人のツイートを探し出すところから始めなければいけないのでしょうか。ぬぬ、面倒なことを。
▼ルパン三世 GREAT CHASE キャンペーン
海外旅行、自転車、ルパンのDVDなどがクイズを解いてもらえます。アカウントを作ってクイズを始めるとカジノサイトみたいなところに飛ばされますが、それは本物のカジノサイトではなくて、それがクイズになっています。そのサイトに登録させられるとかはありません。
サイトが凝っているわりに、クイズ自体がそれほど面白くないような……。ルパンが好きな人はやってみるといいかも。
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- 相性
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2011.11.23 Wednesday▼一昨日、「人生が変わる1分間の深イイ話」を観ました。スタジオにいる出演者がVTRを観て、そのエピソードが深いと思えば「深イイ」、いまひとつならば「う〜ん」という評価をしてコメントを言う番組です。
エピソード自体は深くもなんともなかった。「う〜ん」にすらならなくて、「で?」というものが多い。出演者には伊集院光、マツコデラックス、有吉、徳井(チュートリアル)という鋭い人がそろっていたのだけど、なんだか中途半端な反応だった。
漫画の怪物くんを実写で映画化するので、その宣伝で嵐の大野さんが出演しており、怪物くんにちなんだエピソードが取り上げられていた。だが、どれもどうでもいい話ぞろいだった。でも、それを攻撃してしまうのもちょっと具合が悪いから、遠慮してあの煮え切らなさが出現したのだろうか。
「深イイ」をまったく選択しないと、「この程度では『深イイ』は押せない」と頑なに主張しているようで、なんだかみっともない。それに「深イイ」を選んだ他の出演者を否定しているようにも映ってしまう。結局、どうでもいい話だが「深イイ」を選ぶような感じで、まあ、なんだか終始ダメな感じである。
他の出演者の優等生的なコメントに有吉さんがなんとも悪い顔をするときがあって、番組をぶち壊しにかかるのかな?と思いきや、そうするわけでもない。「この番組って、こんなんで大丈夫なんですかね?」ぐらい言ったほうが盛り上がるとは思うのだけど、そういうことをやる場でもないのだろう。第一、構成を考えるのはプロデューサーの仕事である。有吉さんはニヤニヤしながら、大人しくしていた。
ちょっと前にダウンタウンのアカン警察という番組を観たけど、それもよくわからなかった。同じようにVTRを観て、出演者があれこれ言う番組である。ダウンタウンがフリートークをしたら、それだけで面白いと思う。ただ、どうでもいいVTRを観て他の共演者に配慮したコメントをせざるを得ないとしたら、やはりつまらなくなる。出演者の水準を合わせないと、どうしてもチグハグになってしまう。
本当は「どうでもいいくだらない話だ」と思っていても、そういう本音が言いづらい環境がすべてを駄目にしているように感じる。そういう出演者の思いがこちらに伝染して、なんだか言いようのないつまらなさを覚えたのかもしれない。
▼仕事でも、うまく機能しているチームとそうでないチームがあって、その差を考えているがそれは相性としか言いようがないものである。じゃあ、相性を測定する方法はないかと考えていた。
不特定多数の芸能人の名前を挙げて、それを「好き」「嫌い」「どちらでもない」に分類してもらい、それが似通っている者同士でチームを組めば案外うまくいくかもしれない。けっこう真面目にこれを考えている。とはいえ、価値観が似た者を抽出できたところでうまくいくかはわからない。とにかく試行錯誤である。しかしですね、この方法を上に提案したときに、「おまえ、ふざけてんのか」と言われそうで怖い。
わたし、真面目にやっていても、ふざけてると思われがちだからなあ。中学の頃、体育を真面目にやってたにもかかわらず、体育教師から突然「なんか不満があんのか?」と言われたほどである。「は?」って答えたら、「グラウンド5周」って言われた。因縁じゃないですか。ヤクザだわ。
話が逸れた。まあ、じっくり上を説得すればやらせてもらえるかもしれない。それか、グラウンド5周走らされる。しかし、わりと本気なのです。よその会社は、どうやってチーム分けをしているのだろう。
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- 面白くなくなる
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2011.11.19 Saturday▼ここ半年ぐらいあまりテレビを観ずにいました。まとまった時間がとれたので、知り合いがハードディスクに何百時間も録画した番組を二日かけて観てきました。人の家で、なんと迷惑な。ここ半年ぐらいのテレビの流れがだいたいわかったような気がする。主にお笑いを観たのだけど、有吉さんやフットボールアワーの後藤さんなどが特に面白かったです。
で、ダウンタウンの松っちゃんのコント番組MHKを期待して観た。だけど、何が面白いのかまったくわからなかった。浜ちゃんとやったものは少しおかしかったけど、他のはまったくわからない。わたしの感覚がもう駄目になっているのかもしれない。以前は、ラーメンズ、バナナマン、おぎやはぎ、キングオブコメディなどのコントが好きだったけど、今、観たらまったく違う印象をうけるのだろうか。
お笑いは真面目な映画などよりも劣化していく速度が早いように感じる。劣化していく原因を考えたのだけど、二つ思いついた。
一つは観る側の学習である。「そのパターンはもう知ってる。古い。だいたいわかっている」ということで興味を失ってしまう。特にギャグなどは劣化が早い。一年ぐらいで寿命がきてしまう。
二つ目は作る側の体力の衰えではないだろうか。なぜ、面白い人間が面白いものを作り続けられないかという話に繋がる。
たとえば、年老いた猫がいるとして、若い頃はあんなにはしゃいで猫じゃらしに飛びついていたのに、年老いたらどうでもよくなってしまう。猫じゃらしを目の前で振っても、「まあ、まあ、そういうのもういいから」みたいに面倒になってしまう。もう、はしゃぐ気分ではないのである。体が変化することで、いろいろと面倒になり、それが、「まあ、いいじゃないか」に繋がるように思う。
人間でいえば「丸くなる」というやつである。まあ、いいじゃないかという感じになってしまうと怒りに満ちた鋭いものを作りづらい。そういうものを作れるのは頑張っても四十代前半がいいところかもしれない。「まあ、いいじゃないか」と思ったまま、無理にはしゃいだり怒ったりしてみても虚しい。やろうにも気持ちがやれなくなってしまう。そういう物を作る気分ではなくなる。
すると、今度は話がきれいにまとまっているとか、洗練されているとか、技術が「見事」という方向に行ってしまう。見事なものは、それはそれで面白いものの、じゃあそれで腹を抱えて笑うかというとそうはならない。「ふうむ。あれはいいね」みたいになってしまう。見事方向に行く他の理由は、歳をとったのにあまりくだらないこともやってられないというのもあるだろう。実に残念である。
ちょっと猫の話に戻るけど、猫の寿命が仮に十五歳ぐらいだとして、人間でいうと十五歳はまだまだはしゃいでいる。でも、猫にしてみればもういろいろ面倒になっている。丸くなる要素は、年数ではなくて体力が落ちたことによる精神の変化だと思う。
で、この前テレビで百歳のインド人がマラソンを完走したというニュースを観た。ああいった人は、ふだんものすごくはしゃいでいる人なのだろうか。体力がある百歳の老人というのは、何を面白いと感じるのか。それとも普通の百歳とそんなに変わらないものなのか。
百歳の老人はYahoo知恵袋などで聞いても答えてくれないだろう。何を考えているか聞いてみたい。以前に春風亭小朝が司会をしていた番組で、百歳の老人がゲストが出ていた。そのとき、その老人が「来年から健康のために禁煙しようと思う」と言ったのは驚いた。
あんたどこまで生きるつもりなんだと感心した。それがギャグなのかどうかすらわからない。あの、死ぬことを忘れちゃったんじゃないかという感じが百歳まで生きられたコツなのかもしれない。
百歳といっても人によってまったく違うのだろうけど、そこから見える景色はどんなものなのだろう。そして何を面白がるのか。それを見てみたい気がする。ただ、仮に僕が百歳まで生きられたとしても、かなりマズイことになっている気はする。ご飯を食べた直後に「ご飯はまだかのう?」と言っている自信がある。
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- 寝てないアピール
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2011.11.15 Tuesday▼Becker’sというハンバーガーチェーン店がありまして、そこが好きでたまに行ってたんですが、中目黒店も三鷹店も閉店してしまったようで残念。ファーストフードの中で、もっとも美味しいと思うんだけどなあ。粗挽きグリルバーガーがお薦めです。
▼ハンバーガーを食べ損ねたので、近くにあった飲食店へ。
隣の席には、大学生ぐらいの男二人と女二人がいた。飲み会なのだろうか、あまり盛り上がっていなかった。男の一人がしきりに「昨日、二時間ぐらいしか寝てなくて」と、寝てないアピールをしていた。
あの寝てないアピールというのがよくわからない。なんで、寝てないアピールをしたがるのだろうか。「大変だね」と言ってほしいのかもしれないし、周囲に必要とされている自分をアピールしたいのかもしれない。わたしもやっていたような気がするので、もう本当に気をつけたいと思います。
この他に、忙しいアピール、不健康アピールがあり、寝てないアピールと合わせて日本三大アピールと呼んでいる。そんな寝てないアピールであるが、それをされたときによくあるのが欧米返しである。
「欧米では時間の管理ができないと能力が低いとみなされる。だから寝てないとか忙しいとかなんの自慢にもならない」というやつである。これに対しては「いや、欧米とか関係ないし。ここ日本だし」という日本返しがある。
この日本返しのあとがね、なんと言うべきか、ここ二,三年答えが出ずにいた。こんなもの出なくていいのである。どうでもいいのだ。中途でさえぎって良いなら便利な返し方がある。「昨日、二時間ぐらいしか寝てなくて」と言われたら「死んでないから大丈夫」で乗り切れる。ほぼ、これでいける。人生のあらゆる問題について、これでいけると言ってよい。ただし、精神論なので具体的な問題は何も解決しない。
話が逸れた。隣の席はうまくいかなかったのか、女性たちが帰ってしまい男性だけが取り残された。その場で、軽い反省会が開かれた。わたし、こういう反省会が大好物である。聞いているのがとても楽しい。不毛すぎて楽しい。
男の一人がしきりに「いや、眠くて、あんまり調子出なかったなあ」と眠さのせいにしていた。いいんです。それでいいんです。己のつまらなさを自覚するのはつらいから、眠くて調子がでなかったことにすれば自分のプライドも守られる。そうやって、わたしも生きてきたんだ。
これから巣立つヒナを見守る親鳥の心境であった。よく考えると気持ち悪い。親鳥はたしかにヒナを見守っているが、わたしは単に盗み聞きをしているだけ、という説があるからだ。
男が「いやあ、ほんと眠くて調子悪かったわー」とあんまり言い訳するので、そろそろもう片方が「欧米返し」もしくは「わかった、わかった」などと口にしそうな気配だった。だが、しかし、相手の男は大きく伸びをしてあくびをすると「俺も、寝てないんだわー」と言い出した。
よもやの「俺も俺も返し」である。その手があったか!
なるほど「欧米返し」は険悪になりがちだし、「わかった、わかった」といなすのも、しょうがないから顔を立てた感が残る。さりとてわたしの「死んでないから大丈夫返し」は心が無い。
しかし、「俺も寝てないんだわー」なら、相手を傷つけることもない。女の子が帰ってしまったのも、眠くて調子が悪かったせいだし、自分がつまらない人間だからではない。プライドも保たれる。そう考えると「俺も俺も返し」は、相手も自分も守れる百点の返し方ではないか。
でも、仮に眠くなかったとしても、やっぱり女の子は帰った気がする。なにせ話が面白くなかった。なんかね、女の子の目が死んでた。あ、これは寝るかなって思った。実は向こうのほうが二時間しか寝てなかったんじゃないか。
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- 卑屈君
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2011.11.14 Monday▼テレビなどで、レンズが大きくてフチが太いメガネをかけている女の人を見かけます。アラレちゃんみたいなやつ。あれってかわいいのかなあ。レンズが小さくてフチも細いやつのほうがいいと思うんだけど、どうなのでしょう。
おまえの好みなんて知ったことか、をお送りしました。
▼お世話になっている会社に、ちょっと変わった人がいる。
「僕なんてどうせ駄目ですから……」が口癖の人である。そんな卑屈君(30歳ぐらい)であるが、なぜかわたしにはよく話しかけてくれる。
「この会社はリアルが充実したやつばかりであまり馴染めませんが、しゅんさん(わたし)は僕と同じ臭いがします!」
いや、そういう好かれ方ってどうなんでしょう。どうなんでしょうねえ。そんな卑屈君は、やるとへこむ遊びというのをたびたび教えてくれる。今、彼がはまっているのがフェイスブックで知人を検索し、その知人の生活の充実ぶりを見て、自分と引き比べてへこむという遊びである。また、そんな卑屈をこじらす遊びをよく開発するものである。
友人の多さ、女友達の多さ、趣味やサークル活動の充実ぶり、学歴や職歴、ありとあらゆるものに嫉妬するらしい。だが、もっともへこむのが、捏造とはいわないまでも微妙に都合のよいように経歴を変えているケースだという。
たとえば、学校を二部卒なのに一部卒と見てとれる書き方をしていると、その人のコンプレックスが透けて見える。また、プロフィールの「尊敬している人」の欄に「今まで出会ったすべての人」などと書いているのを見て「うわー、気持ちわるー!人からどう見られたいか計算してるのがミエミエ。クケーッ!」と奇声をあげるという。重病である。まあ、気持ちはわかるんですけども。
でも、もっとも気持ち悪いのは、そうやって人のプロフィールを密かに検索してあれやこれや言っている卑屈君自身だと思う。知り合ったあらゆる人をストーキングしている。全方位ストーカーではないか。それを伝えたところ「そうなんですよ〜!もう、自分で自分のことが気持ち悪くて、嫌で嫌で!でも、こんなことみんなに言ったらますます嫌われるし。しゅんさんなら、同類だから絶対わかってくれると思って!」
はははは、厚い信頼。同類なのかなあ。そうなのかなあ。えらい人に見込まれてしまった。今後、卑屈君からのメールは迷惑メールに分類します。
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- アタシちゃんと卑屈くん K'depトースタープレート
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2011.11.11 Friday▼お世話になっている会社に対照的な人たちがいる。
一人はアルバイトの女子大生で、自分大好きな人である。「アタシの好きな映画わかります?」とか「アタシ、あのコーヒー好きで」とか、求めていないアタシ情報を知らせてくるアタシちゃん。彼女にまつわる情報をなぜ周りが知りたがっていると思うのだろうか。
わたしなど、何をするにも自信がないほうだから彼女の自信に満ちた態度を学びたい。彼女がこの会社に応募する際、履歴書を送ったのだけど反応がなかったそうである。普通は反応がない時点で「落とされたな」と気づくものである。
ところが、アタシちゃんは「郵便局が履歴書を失くしたな」と思ったそうである。え、なにそのすごい自信。根拠ない自信がすさまじい。それで、アタシちゃんはもう一度送ってみたそうである。やはり、返事がない。(書類選考で選ばれなかった人には通知しないという条件であり、彼女は落ちていた)
しかし、ここでもアタシちゃんは「郵便局がまた失くした」と思ったという。頭がおかしいんじゃないか。日本の郵便制度より自分の頭を疑ったほうがいい。で、さらに三度送ったがそれでも返事がない。ここに至って、ついに「落ちていたか」と気づいたならわかるのだが、「採用担当がアタシのことを見落としているのではないか。アタシがバイトで落ちるわけがない」と思って会社に電話したそうである。
なんたる心臓の強さ。採用のほうでも、三度履歴書を送ってきたとても熱心な応募者(実はただの頭がおかしい人)がいたということで話題になり、特別に採用に至ったのである。これはすごいことだと思います。粘り強さは大事ですね。
で、対照的な卑屈くんについて書こうとしたのですが長くなりましたので、またいつか。
▼K’dep トースタープレート
そんなアタシちゃんに教えてもらったのが、このケデップのトースタープレートである。オーブンの空きスペースで、パンを焼く余熱でベーコンエッグが焼けます。忙しい朝には良い。これをそのままテーブルに運べば皿も節約できます。付属のコルクボードがあるので、その上に置けばテーブルを痛めることもありません。
たしかに便利ではあった。値段も1050円だし。ただ、アタシちゃんが「これ本当に便利なんですよ!実はアタシが発明したんです!」ぐらいの勢いでくるので腹立たしい。使っているだけなのに。なので、わたしは彼女からの情報で買ったことは言わないでいる。悔しいから密かに使ってます。そうです。心が狭いんです。
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- ビフォーアフター
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2011.11.09 Wednesday▼友人夫婦の家にお邪魔する。この日記を読んでくださっている方は、こいつは週三日ぐらい友人夫婦の家に行っているのではないかと思っているかもしれませんが、そんなことはありません。そんなに通えば迷惑だし、第一わたしはそんなにヒマじゃない。ヒマです。ヒマなんですけどー。
一度お邪魔すれば4,5回分書けるので、それを日を分けて書いています。いりませんね、そんな説明。
で、先日お邪魔したところ、いつも元気なター坊(小学校2年)が泣いていた。そして父親であるわたしの友人は珍しく怒っていた。母親はニヤニヤしている。これは何かあったなと、わたしもニヤニヤした。この前にお邪魔したとき、おもちゃを部屋のあちこちに出しておいて叱られたので、またそれかもしれない。
以前、部屋におもちゃが散乱していたとき、片付けさせるためにビフォーアフターというテレビ番組の真似をしたことがある。わたしは通しては観たことがないのだけれど、問題のある家を匠と呼ばれる建築家たちがリフォームして改造する番組である。そのナレーションが印象的だった。友人夫婦の家でも、たまに観ていたようだった。
「ター坊家、それは閑静な住宅街の一角にある一軒のボロアパート。ダンボールと立て看板で造られたモダンなたたずまい。そしてこの居間に面した猫の額よりも小さな小さなお部屋、これが今回のリフォームの舞台です。このお部屋に散らばる無数のおもちゃ。これでは足の踏み場もありません。住人はおもちゃを踏まないよう怯えてくらしております。
そこで今回登場したのがリフォームの匠、ター坊先生です」
「え?ボク?」
「そうです!先生は、なんとこの危険なウサギ小屋を今から3分で魔法のように片付けてしまうとか!匠、本当にそんなことができるんでしょうか?」
「で‥‥、できます!」
「じゃあ‥‥、ヨーイドン!」
で、ター坊はそのウサギ小屋を見事に3分できれいにしました。友人夫婦からは「誰の家がウサギ小屋だ」とか「ダンボールと立て看板でできてるボロアパートってなにかな?」とか、いろいろいじめられました。それは言葉のアヤというものです。まったく思ってもいないことを仕方なく言っただけなんです。
片付けを終えたター坊に「匠、さすがの仕事でしたねー」というと「エヘヘヘ」と喜んでいた。そういうビフォーアフターごっこというのをやったことがあります。
今回、ター坊が泣いていたので、また散らかして怒られたのかなと思った。部屋にはおもちゃが散らばっていた。わたしが来る直前までは部屋はきれいだったらしい。そして、その散らばったおもちゃの尖った部分を父親が踏んでしまった。それで怒られたのだ。
泣いているター坊に話を聞いた。
「だって、しゅんくん(わたし)が来るっていうから‥‥、おもてなししなきゃと思って‥‥」
そうです。匠は、わたしが来るというのでわざわざ掃除されていた部屋を散らかして、ビフォーアフターごっこをしようと思ったのです。さすが、匠のおもてなし。普通の頭では思いつきません。頭おかしい。そんで、おもてなしって言葉、よく知ってたね。
「では、匠がみずから散らかしたこのウサギ小屋。今日は、何分で片付けましょうか?」
「‥‥、もう、そういう気分じゃない」
やらんのかーい。
匠、哀愁ただよう背中で、一人もくもくと片付けてました。
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- 握手
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2011.11.06 Sunday▼友人夫婦の子ター坊(小学校2年)が自作の歌をご機嫌で歌っていた。
「ハチのように舞い〜♪ ハチのように刺す〜♪」
どうみてもハチだな、それ。しかし、頭の悪そうな歌を歌わせたら右に出るものはいない。
▼日曜に仕事を請けている会社に行くと、とても静かだった。やはり会社は日曜に限る。月から金て本当に必要なのかと思う。電話がかかってこないので仕事はとてもはかどった。
バイトで出社していた花の女子大生アタシちゃんと昼ごはんに行く。花のて。今どき、花のて。定着するまで言い続ける。
ドトールに行った帰り道、道路を渡った反対の通りにどこかで見たことのある中年の男性が歩いていた。
「しゅんさん(わたしのこと)、あの人‥‥」
「あれ?俳優の○○だよね」
(万が一にもご迷惑がかかるといけませんので名前は伏せます。)
「そうですよね!あたし、ちょっと握手してもらってきます!しゅんさんも、行きませんか?」
「え?‥‥いや、僕はいいかなあ」
「じゃあ、行ってきます!」
彼女は道路を渡って、その俳優のもとへ駆けていった。少し会話をし、握手してもらったあと戻ってきた。
アタシちゃん:「ファンです!」って言って握手してもらっちゃいましたー!
わたし:良かったねえ。
ア:すごく感じ良くて、「これからもよろしくお願いします」って丁寧な人でした。
わ:そうなんだあ。ヤクザ役とかやってるから、ちょっと怖いのかと思ったけどそうでもないんだね。
ア:へー。そんな役やってるんですかー。
わ:あれ、ファンじゃないの?
ア:んー、CMで何回か観たことあるけど、下の名前もよく知らないし。
わ:え?それで握手してもらいに行っちゃうの?
ア:はい!
わ:ふうん‥‥。
ア:あれ?なんか不満そう?
わ:いや、べつに‥‥。
ア:不満そうですよね?
わ:いや、そんなにたいしたファンでもないんだなあって。
ア:ファンじゃないですよ。
わ:ファンじゃないのか‥‥。
ア:しゅんさんはファンなんですか?
わ:ファンていうほどでもないけど、あの人の出てる映画は10本ぐらいは観てるかなあ。ちょっと前にやった役もすごくはまり役だったから、わりと気になってた。あと、DVDも何本か持ってる。
ア:完全にファンじゃないですか。えー、じゃあなんで行かなかったんですか?
わ:いや、こう、なにかすごくミーハーなような。いまだにサインだとか握手だとか、そういう個人を崇拝するような行為というのもちょっとどうなのかという、そもそも読めもしないミミズがのたくったようなわけのわからないサインをありがたがるというのも――。
ア:うらやましかったんですね?
わ:‥‥、うらやましくないこともない。
ア:素直じゃないなあ、もう。
わ:あと、オドオドしたオッサンから「あ‥‥、あ、あ、握手してください!」って言われても、あまりいい気はしないんじゃないかと思って。
ア:そんなことないですよー。気、遣いすぎですって。
わ:気持ち悪いんじゃないかとか、手に汗をかいてないかとか、いろいろ気になる。
ア:逆にしゅんさんが、あの俳優さんの立場だったとして、しゅんさんみたいな人から「握手してください」って言われたらどうですか?
わ:嬉しいよね、どんな人でも。自分の仕事を評価してくれるんだから。
ア:でしょ!
わ:でも、僕みたいな人がオドオドしながら近づいてきて「あ、あ、握手してください!」って言ったら、「あ、俺、刺されるのかな?」って思うかも。
ア:あっはっはっ!そんな〜!でも、すごくわかる、それー!
わ:わかんのかよ。
ア:なんだか、最近やってるドラマみたいですね。べムだっけ?本当は心優しいのに人間から嫌われてるバケモンみたいな。
わ:バケモンてなんだ。嫌われてないわ。
ア:心優しいモンスターですね。
わ:‥‥、今日から。
ア:はい?
わ:今日から、おまえのこと、いじめる‥‥。
ア:なんでですかー!
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